着物デビューして十数年経ちますが、着物を覚えてよかったと改めて思います。
様々な出会いや、普段では味わえないような体験、そして華やかな世界への入り口。
過去を振り返ってみるともっと早く着物にチャレンジしてみればよかったと思いつつ、少し昔を思い出してみました。
たしかに、お手入れや着るときに時間がかかってしまったりしますが、やはり洋服とは何か違います。
着てると背筋もピンとなり、所作も美しくしなければという思いで心もピンとなりますよね(^v^)
これから着物を始めてみようと思っている方はぜひ参考になればと思います。
昔を振り返り、こんなこともあったなあ・・という思い出話になりますが、ぜひ最後までお付き合いしていただければと思います。
- 着物にチャレンジしてみたいと思っている
- 着物を着る方の心鏡や体験談を聞きたい
教室に通おうと思ったきっかけ
着物を一人で着られるようになりたいと思ったのは、社会人になってからでした。
母も祖母もたくさん着物を持っていましたし、私も母に何枚か作ってもらいました。
でも毎回着付けしてもらわないと着られない。面倒だからまた今度にしようか、って先送りにしてしまう。
自分が着たいときに着られるように、誰かに着せてあげられるようにと思い、会社帰りに着付け教室に通いました。
私が通っていた頃は今よりもっとたくさんの着付け教室があったと思います。
私は着物一式を専用バッグに入れて持って行きましたが、着物を持っていない方も何名かいました。
襦袢や腰紐などの小物は必ず自分のものが必要でしたが、帯や着物は教室が無料で貸してくれました。
これは今も同じようなサービスがありますね。
教室が貸し出してくれていたのは洗える着物でした。ポリエステルでできていて、水をはじきやすいものでした。
その頃の私は着物の知識がほとんどなかったので、洗える着物には本当に驚きました。
見た目には絹でないことも本当にわからないし、普段からよく着物を着るなら断然こちら。
手軽に洗えて便利です。先生が「毎日着ているので洗濯機で洗う」と言われたのもびっくりでした。
今ではデニムの着物もあるのでワンピース感覚で着られますよ!(^^)!
教室では私と同い年の生徒さんと仲良くなり、話をしているうちに私の高校の同級生と同じ職場の人だとわかりました。
その後、その同級生の結婚式で再会したときは、不思議な気分でした。
基礎コースが終わってなんとか一人で着物を着られるようになったころ、名古屋帯を自分で作る授業がありました。
もともと出来上がっている生地が何色かあり、その中から好きな色を選んで、お太鼓の部分に書いてある下絵に自分で色を塗り、最後に帯を縫い合わせて出来上がりだったと思います。
色を塗ったりするのは苦手だったので四苦八苦しましたが、今もその帯は残してあります。
通い始めて1年半ほど経ったころには卒業式もありました。
若い方は振袖で、年輩の方は留袖などを着ていました。
大勢の和服の女性が集まった式は本当に華やかでした。私は成人式以来の振袖で出席しました。
その後振袖は自分の結納のときにも着ました。自分で着た振袖は、誰かに着せてもらったときよりも自分に馴染んでいるような気がしました。
着付けができるメリット
会社に入って2年目のころ、同僚が夏祭りの花火大会に浴衣で行くというので、もう一人の同僚と二人がかりで就業後に浴衣を着付けたことがあります。
浴衣は小物も少ないので持ってくるのも着付けるのも楽です。
浴衣には小さめのかごや巾着などを合わせますが、「普段の持ち物が入らないのでは・・・?」「着てきた服はどうするの?」と心配していたら「彼氏が迎えに来るから大丈夫」と全部を無造作に大きなかばんに突っ込んで出て行きました。
荷物のことを考えなくていいなら仕事帰りに和服で出かけるのもいいですね。
私の過去の失敗談
苦い思い出もあります。
私が30代のころ。着物が着られる人で、ということで抜擢されたお仕事があります。
とある呉服店のイベントで、年輩の有名な女優さんがゲストで来られてお話をしたり、お見立てをしたりするものでした。
その司会が私だったのです。あまりの緊張に言葉もうまく話せてなかったかもしれません。
本当に顔がこわばり、皮が引きつって元に戻りませんでした。
仕事を引き受けたことを後悔しましたし、早く時間が経ってほしいと思いました。
あんな気持ちになったのはあのときだけです。女優さんは控室でもとてつもないオーラがあり、とても姿勢よく、美しく座っていらっしゃいました。
女優さんはこんな私にも優しく声をかけてくださいましたが、私はご挨拶するだけで精一杯でした。
イベントはなんとか無事終了しました。あの女優さんはすてきな方でしたが、今でも私の中ではトラウマです。
さきほどのイベントは、当日自分の着物を着て現地に集合と言われました。
着物はたまにしか着ていなかったため、数日前から着る練習をしました。
すると今まで簡単にできていた帯結びができなくなっていました。
結び方がわからなくなっていたのではなく、腕が上がらないのです。
帯のお太鼓結びは少し高いほうが足も長く見えてすっきりします。
それで脇の少し下くらいで後ろに手をまわし、お太鼓の位置を決めようとしましたが、なかなか腕が上がらず練習だけでくたくたになり、自分の体の硬さにがく然としました。
気持ちは若いつもりでも体は動かさないと衰えていくのですね。
着物を着るといいことがいっぱい!?
着物を着る機会は少ないと思っていましたが、行くと必ずと言っていいほど着物姿の女性を見かける場所があります。
それは、歌舞伎を上演している劇場です。観劇の奥様方が着物で来られるのです。
上演前の劇場周辺、幕間のロビーは和服姿の女性でいっぱい。
初めて見たときには「私も着てくればよかった・・・」と思いました。
お気に入りの役者さんに会うための正装?でしょうか。みなさん本当にすてきでした!(^^)!
3ヶ月で着物が着られるようになる、という一文に惹かれて入会した着付け教室でしたが、だんだん楽しくなって結局師範の肩書をいただくまで通いました。
それまでには十二単や、花嫁衣装の着付けもありました。いい経験をさせていただいたと思っています。
着せてもらっていたころは自分の着物でも借り物のような感じがしていました。
でも自分で着られるようになってからは着物に一層愛着がわくようになりました。この気持ちをわかってもらえるとうれしいです。
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