画像出典:薗部染工
お着物が好きだと街中を着物で歩いている人のファッションや、店頭に飾られた着物に興味を惹かれることってありますよね。
気に入ったデザインを見かけると「どうやって作られたんだろう?」と、気になったこともあるのではないでしょうか?
そこで、この記事では日本の伝統的な染色技術の「墨流し(すみながし)」を体験したことについてご紹介していきます。
昔から親しまれている着物には伝統的な染め方が多く、時代が変わっても受け継がれている技法も多いのだそう。
マーブル模様が作り出す繊細な美しさの魅力をさっそくチェックしていきましょう(๑>◡<๑)
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墨流しは、水面に墨や染料を垂らして作られた模様のこと。
また、その模様を布や紙などに転写する技法そのものを指した言葉です。
海外でも同様の染め方があり、「マーブル」や「マーブリング」と呼ばれ、カラフルな染料を使ったアートが楽しまれているのだそう。
墨流しの歴史
墨流しの歴史は、もともと中国で行われていた「流沙箋」が、9世紀頃に日本に伝わって来たのが始まりと言われています。
平安時代には貴族が川に墨を流して模様の変化を楽しんでいたそうで、墨流しの模様が入った書物があるのだとか。
江戸時代になると墨だけじゃなく、紅や藍も使用されたことで色が加わって華やかさがアップ。
千代紙やタンスの内張りにも使われることもあり、人々が墨流しのデザインを楽しむようになりました。
時代と共に変化を遂げた墨流しの技術は、やがて布地に転写されるようになり、福井県の武生や京都で開発が進められました。
そして、福井県の指定無形文化財に指定され、約千年の歴史がある伝統芸術として今もなお多くの人に愛されているのです。
墨流しにチャレンジ!
今回は、そんな伝統技術の墨流しを体験させていただくことになりました。
白いハンカチをオリジナルのデザインに染めるという内容です。
体験ブースに準備されていたのは、厚みのある平たいトレー。
中には水と糊を溶かして作った専用の液体が入っていました。
そこに、筆を使って墨汁やカラーの染料をトントンと垂らしていきます。
油分をはじく性質があるので、それぞれの色は混ざることなく綺麗に分かれて水面を彩ります。
色の選び方や染料の多さ、垂らす位置によっても出来上がりが変わるのですが、1番重要なのは模様の作り方!
竹串を使って水の表面をなぞると形が変わり、まるでラテアートのような独特な模様が出来上がります。
これこそが墨流しの最大の魅力です。
規則性を持って竹串を動かすも良し、絵を書くように感覚で動かしても良し。
作る人のセンスによってデザインが変わるのがとても楽しく、難しくもありました。
デザインが決まったら、いよいよ転写作業へ。
白いハンカチをピンと張った状態で2人で端を持ち、「せーの」で同時に離すと水面にピタッと吸着。
ゆっくりとハンカチを持ち上げると、一瞬で綺麗なマーブル模様に染まっていました。
その後は、しっかり乾かしてからアイロンで熱を加えれば、色落ちを気にすることなくハンカチとして使用できます。
世界に一つのオリジナルハンカチの完成です。
墨流しの生地
画像出典:着物屋くるり サキガケ
今回体験したのはハンカチでしたが、実際に着物を染めるときにも基本的な作業は手作業で行っているのだから驚き。
約13メートルもある反物を1度に染めるため、専用の長いトレイに水を張り、模様を作って、反物を水面につけて転写しているのです。
墨流しは、気泡が入ったりズレてしまったり、リスクが高くやり直しが効かない染め方。
だからこそ、誰でも出来るものではなく、職人的な技術が求められる作業なんですね。
墨流しのデザイン
職人技が光る墨流しの反物のデザインをいくつかご紹介します。
縦は細かく横は間隔を空けて、左右から交互に竹串でなぞって作られた模様。
細かく繊細で統一性があるので美しく、少しのズレや間隔の差も許されないデザインです。
大きく波を描いた中に、細かいマーブル模様を作ったデザイン。
大胆かつ繊細でバランス良く描くのが難しそう。
実際に体験したからこそ、職人さんの技術の高さを感じます。
全面ではなく真ん中だけに描かれた、墨の濃淡で表現された美しいデザインです。
規則性はなく、職人さんの感性で作られた模様がお洒落ですよね。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では墨流しの技法や歴史、デザインについてご紹介しました。
街で見かける素敵な着物や、呉服屋さんに並んでいる美しい反物。
見た目だけじゃなく、種類や染め方まで知っていたら、着物をより楽しめそうですよね。
もし墨流しのデザインを見かけたら、あんな風に染めたんだなあと思ってもらえたら幸いです。
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