日本の伝統文様はデザイン的にも世界から高い評価をうけておりそれぞれに意味があります。
植物や華やかな柄が印象的ですが、ほかにも縁起がよいとされる吉祥文様を知っていますか?
着物の伝統的な吉祥文様の意味を知って着物を選んだり着たりすれば、気持ちも違ってくると思います。
ここでは日本の伝統的な吉祥文様の込められた意味を解説していきます。
- 着物に興味があって深く知りたい
- 着物の柄の意味って何?
- これから着物を着ていこうと思っている
- 普段から着物を着て過ごしてみたい
青海波(せいがいは)
青海波の文様の発祥は古代ペルシャでシルクロードを経て飛鳥時代に日本に伝わったとされています。
広い海がもたらす恩恵と無限に広がる波の文様に、未来へ続く幸せへの願いと平安な暮らしへの願いが込められ、古来より愛されてきました。
1種類だけでなく以下のような文様もあり、日本の美しい情景が思い浮かびますね。
- 破れ青海波・・・文青海波を敷き詰めずにところどころ破れた文様
- 花青海波文・・・青海波の形を花でかたどった文様
- 青海波紅葉文・・・紅葉が水面に散った流れを青海波であらわした文様
亀甲(きっこう)
「鶴は千年、万年亀は万年」という言葉があるように亀は長寿の象徴で、亀甲柄は亀の甲羅からきています。
いくつもの六角形に近い形の甲が連なって構成された甲羅は非常に丈夫で、正六角は自然界でも最も安定した形なのです。
亀甲は1種類だけではなく色々な文様があります。
- 亀甲つなぎ・・・単純な六角形を繋ぎ合わせた文様
- 毘沙門亀甲・・・亀甲花弁と亀甲を組み合わせたものを六角形の中に花弁をあしらった文様
- 子持ち亀甲文様・・・正六角が二重になった文様
また古くから家紋や紋章としても亀甲を用いたものがたくさんあり、縁起の良さがわかりますね。
市松(いちまつ)
市松模様とは格子柄を色違いに並べたもので、鬼滅の刃の炭治郎が着ている着物の柄といえば分かる方も多いのでしょう。
上下左右途切れることなく模様が続くことから、永遠や発展拡大、繁栄の意味を表します。
市松模様の名前の由来は江戸時代中期に歌舞伎役者の佐野川市松が白と紺を交互にあしらった袴を着ていたことで、当時の女性に大流行し市松模様と呼ばれるようになりました。
ルイヴィトンのダミエシリーズは市松模様にインスピレーションを受けたとされ、ブラウンの濃淡が特徴です。
F1などのフィニッシュラインで振られるフラッグも市松模様といわれています。
七宝(しっぽう)
七宝文様は上下左右に繋げているので七宝繋ぎとも呼ばれ、重ね合わせた円をずらして作った文様です。
七宝文様には「円満」「調和」「ご縁」などの意味がこめられており、円を繋いだ様子がご縁が続くように感じられますね。
七宝とは仏教用語で「七つの宝」を表しており以下となります。
- 金(こん):ゴールド
- 銀(ごん):シルバー
- 瑠璃(るり):ラピスラズリ
- 玻璃(はり):水晶
- 蝦蛄(しゃこ):シャコガイなどの美しい貝
- 珊瑚(さんご):法華経ではさんごではなく真珠
- 瑪瑙(めのう):アガット、アゲート、縞模様の石
全て美しいものばかりですね。
矢羽根(やばね)
矢羽根文様とは武士が使う矢羽根をモチーフにした縁起のよい文様です。
縁起の良い1つめの理由は江戸時代には射た矢がまっすぐ飛び戻ってこない様子から、結婚の際に出戻ってこないようにと矢羽根文様の着物を持たせる風習があったといわれています。
2つめの理由は「破魔矢(はまや)」の羽根が描かれていることです。
破魔矢とは初詣の際に神社から授与される矢で「不幸なことを除去して幸せを射抜く」という意味があるので、縁起ものとされるようになりました。
現代では卒業式に着る袴姿や大正ロマンを感じる文様としてとても人気があります。
麻の葉(あさのは)
麻の葉文様は平安時代から仏像の模様などに使われてきた伝統的な文様です。
麻の葉は非常に成長が早く害虫や病気に強いことから、赤ちゃんの成長を願い魔除けの意味を込めて産着や子供の服に多く使われていました。
江戸時代になると歌舞伎役者の岩井半次郎が衣装で麻の葉柄を用いたことから庶民にも人気の文様になったようです。
鬼滅の刃の禰豆子の着物の柄でも有名ですね。
日本の伝統工芸の寄木細工にも使われており伝統的な文様だとわかります。
扇(おおぎ)
扇文様は端にどんどん広がる末広がりの形状で縁起がよいとされ、商売繁盛や開運の意味を表しています。
空気を動かして風を起こす扇は神様を招く神聖なものとされました。
神楽、能楽、祭事などで用いることが多いのも神様の恩恵を受けるとされているためです。
扇文様の楽しみの1つに扇の中にも模様を描けるバリエーションが豊富です。
季節やたくさんの色の組み合わせを楽しめるでしょう。
まとめ
伝統的な吉祥文様の意味と由来について解説してきました。
意味を知って文様を見ると奥が深く納得してしまいますよね。
意味を思い出しながら着物を選ぶと楽しいのではないでしょうか。
着物だけではなく伝統工芸品の柄や最近ではお菓子のパッケージデザインに使われているものも目にします。
身近なもので見つけたら意味を思い出してみてくださいね。
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