いざ、着物でお出かけするときに何か心細くなったことはありませんか?
着物だけで外出するのもいいんだけど・・何か恥ずかしい・・
あんまり着物を汚したくないんだよなあ・・
着物だけだと何か肌寒い感じがする・・
着物だけで外出することもありますが、電車に乗ったり、バスに乗ったりで人に触れることも多々あるかと思います。
そんな時には着物コートを1枚羽織っておくと少し安心。
出先で帯がグズグズになってもごまかしがききますしね(*^_^*)
- コート選びに困っている
- コートの種類がよくわからない
- コートのオシャレも楽しみたい
着物用コートの種類
まずは着物用コートの種類は、大きく以下の7種類に分けられます。
- 羽織
- 道行(みちゆき)
- 道中着(どうちゅうぎ)
- 和装コート
- ショール
- ポンチョ・マント
- 雨コート
それぞれの特徴を紹介します。
羽織
羽織とは、着物の上に羽織るカジュアルなアウターです。洋服で言うカーディガンにあたります。
前は羽織紐を使って留めます。
他の着物用コートとは違い、室内でも着用できるのが特徴です。
羽織の面白さは、守備範囲が広いところ。
縮緬や綸子で丈長に仕立てた絵羽柄の羽織なら優雅な外出着として着れますし、紬や小紋の羽織は普段着にじゃんじゃん着ていけます。
また、羽織の種類は多く、柄や季節・丈の長さで使い分けられます。
最近は膝丈位が流行でカッコイイです!(^^)!
冬は、裏地が付いた「袷羽織(あわせばおり)」や綿が入った「綿入れ羽織(わたいればおり)」を着ると暖かく過ごせます。
夏は、単衣仕立ての「単衣羽織(ひとえばおり)」や、絽(ろ)や紗(しゃ)を用いた「夏羽織(なつばおり)」がおすすめです。
羽織紐は羽織の要。ビーズでできた物や組紐でできた物、オリジナルで自作しても楽しいですね(*^_^*)
道行(みちゆき)
道行とは、衿が四角形に開いている着物用コートです。
着物のコートといったら道行というくらい、道行は着物コートの代表格。
前は備え付けのボタンで留めます。
外出用コートなので、室内では脱ぐのがマナーです。
道行きはフォーマルなコートなので、基本的には礼装に合わせて着ます。
小紋柄の道行や紬素材の道行は格が下がるので、カジュアルな着物にも合わせられます。
輪奈ビロード、ベルベットなどなら防寒性も高いので、1枚持っていれば怖いものなし!
道中着(どうちゅうぎ)
道中着とは、着物の衿に沿う形の上着のことをいいます。
前は備え付けの紐を結んで留めます。
道中着の名前は「道中お気を付けて」という言葉に由来しており、旅路に着るのが一般的だったため、室内では脱ぐのがマナーです。
また、道中着はカジュアルなコートなので、着物通に好まれ、紬や木綿の着物を着る機会が多い方、街着やおしゃれ着などの普段着着物に合わせるのが一般的です。
和装コート
和装コートは、洋装のロングコートとほとんど変わりません。
前は備え付けのボタンで留めます。コートなので、室内では脱ぎましょう。
和装コートは、洋装コートよりも衿まわり・袖まわりがゆったりと作られているため、着物の上に羽織りやすい点が特徴です。
着用シーンはカジュアルからフォーマルまで対応します。
カシミヤ素材や綿など様々。気軽に利用できる場面が多いですね。
ショール
ショールを着物のアウターとして使うこともできます。
ショールとは、防寒用の肩掛けのことです。洋装用のショールと同じく、室内では脱ぐのが一般的です。
着物の色・柄に合うものであれば、着物用ではなく洋装用のショールを使用しても問題ありません。
冬は厚手のショールを羽織って寒さ対策を、夏は薄手のショールを羽織って日焼け対策・暑さ対策を講じましょう。
ポンチョ・マント
ポンチョやマントを着物のアウターとして羽織ることもできます。
どちらも頭だけを出して着るのが特徴で、袖はありません。
ポンチョは丸みを帯びたフォルムなので、女性らしさを演出できます。
マントは上半身をまるごと隠すような形なので、シャープな印象を残せます。
かわいらしさを重視するならポンチョ、大人らしさを重視するならマントを使うと良いでしょう。
ポンチョ・マントの着用シーンはカジュアルな場面に限られます。
雨コート
雨コートとは、雨天時に羽織るレインコートのことです。
上下がつながっている十分丈の「ワンピースタイプ」と、上下で分かれている「二部式」のものがあります。二部式の雨コートは、上だけを五分丈で着てもOKです。
雨よけのために着るコートなので、室内では必ず脱いでください。
着物用コートの格を決める「衿」
着物用コートの格は、衿の種類で決まります。
- 道行衿(みちゆきえり)
- 都衿(みやこえり)
- 千代田衿
- へちま衿
- 被布衿(ひふえり)
- 着物衿
それぞれの格と特徴を紹介します。
道行衿(みちゆきえり)
四角く開いた衿で、前はボタンで留めます。主にフォーマルな場面で使われます。
道行衿でも、柄が小紋だったり素材が紬だったりすると格が下がり、カジュアルな場面にも使えます。
都衿(みやこえり)
角が丸い道行衿のような形をしています。フォーマルからカジュアルまで活用可能です。
遠くからだと道行衿と見分けるのが難しいですが、近くで見ると都衿の方が柔らかな印象です。
千代田衿
千代田衿は、カーブした衿合わせが特徴です。洋装コートのように前をボタンで留めます。
大正中期に取り入れられた形で、基本的にはセミフォーマルな場面に使います。
へちま衿
へちま衿は、衿が細長くへちまのような形をしています。洋装コートのように、衿を外に折り返している点が特徴です。セミフォーマルからカジュアルまで対応します。
被布衿(ひふえり)
七五三で、三歳の女の子が着る被布(ひふ)に使われる衿の形です。飾り紐が付いている点が特徴です。
前は四角形に開いており、左右の衿は外に折り返されています。前はボタンで留めるタイプと紐で留めるタイプの両方があります。
セミフォーマルからカジュアルまで、さまざまな場面で活用できるでしょう。
着物衿
着物衿のコートは、着物のように衿合わせをします。前は紐で留めます。カジュアル向きの衿です。
色・柄・素材も着物用コートの格に影響する
着物用コートの格は、衿の形以外にも「色」・「柄」・「素材」などの要因で決まります。
どんな風に格が変わるのか、以下で見ていきましょう。
着物用コートの色
黒色の着物用コートは格が高いです。結婚式や不祝儀をはじめとし、お子さまの卒業式・入学式などさまざまな場面に着ていけます。
一方で、カジュアルな場面には明るい色の着物用コートを合わせられます。着物に合う色を選んでみてください。
着物用コートの柄
紋付き羽織や絵羽模様・無地のコートは格が高いです。冠婚葬祭に合わせられます。
反対に、小紋柄や縞模様のコートは格が低く、街着・おしゃれ着に向いています。着物の柄に合わせてコーディネートしてみましょう。
着物用コートの素材
着物用コートの素材は、縮緬(ちりめん)が最高格とされています。礼装に合わせて羽織りましょう。
紬や木綿・ウールはカジュアル向きの素材で、街着やおしゃれ着に合わせます。
ビロードやベルベットと呼ばれるなめらかな素材は、カジュアルからフォーマルまでさまざまな場面に対応します。
【番外編】コート以外で防寒する方法
着物用コート以外で寒さを防ぐこともできます。次の5つの方法に取り組んでみてください。
- インナーを着る
- マフラーを巻く
- 足袋用インナーを履く
- 防寒草履を履く
- カイロを貼る
インナーを着る
寒さが厳しい日には、冬用の暖かいインナーを着ましょう。
上半身を守るインナーシャツや、下半身を守るレギンスなどが販売されています。
上下でつながっているワンピースタイプのインナーもあります。
ユニクロのヒートテックなどを着ても問題ありません。
着物時だけでなく、洋装時にも活用できて便利です。
ただし、着物用でないインナーを着る際は、胸元や首元・袖口・裾先から見えないようにだけ注意してください。
衿元が詰まったインナーや、七分丈~十分丈のインナーはおすすめできません。
マフラーを巻く
着物は衣紋を抜いて着るため、首元が露出しています。
首元がスースーしてしまうためマフラーを巻きましょう。
着物の全体のバランス崩さないような、シンプルで上品なマフラーがおすすめです。
フリンジマフラーや大判マフラーを使う場合は、色や柄が着物の美しさを妨げないように注意してください。
なお、着物には洋装用のマフラーを合わせても問題ありません。
お持ちのマフラーの中から、着物に合うものを選んでみてください。
足袋用インナーを履く
冬に足袋一枚は薄着すぎます。足袋の中に足袋用インナーを履き、足元を温めましょう。
保温・発熱素材の足袋用インナーは500~1,000円程度で購入できます。
また、足を防寒するためには、綿素材・ウール素材の足袋や、裏起毛の足袋を履くことも効果的です。
足は冷えやすい部位なので、十分に寒さ対策を行いましょう。
防寒草履を履く
着物には草履を合わせるのが基本です。
しかし、草履はサンダルのような形状をしており、冬に履くと冷気が足先に直撃してしまいます。
足先の冷えを防ぐためには、爪皮(つまかわ)が付いた防寒用の草履を履きましょう。
冷気や雪・雨から足を保護できます。
カジュアルな着物であれば、ブーツを履くのもおすすめです。
カイロを貼る
着物の下にカイロを貼り、全身を温めましょう。
背中下部・ふくらはぎ下部・肩甲骨の間・おへその下の4箇所に貼るのが効果的です。
大きな血管が通っているため、温めることで全身の血液の循環を促進できます。
上記の他に冷えやすい部位があれば、そちらにもカイロを貼りましょう。
また、着物を着た後にカイロを貼ることはできないので、着付け中に貼ることを忘れないでください。
おわりに
着物用コートについてまとめると、以下のようになります。
- 羽織:着物の上に羽織るカジュアルなアウター
- 道行:衿が四角形に開いているフォーマルな着物用コート
- 道中着:着物と同じように衿合わせをして着るカジュアルなコート
- 和装コート:洋装のロングコートに似たコート
- ショール:防寒用の肩掛け
- ポンチョ・マント:頭だけを出して着るカジュアルなコート
- 雨コート:雨天時に羽織るレインコート
- 着物用コートの格は、色・柄・素材や衿の形によって決まる
- コートの他に、インナー・マフラー・足袋インナー・防寒草履・カイロなどで防寒ができる
防寒対策ももちろんですが、着物を守るためにもコートなどは着用したいところです。
着物の着尺をコートとして仕立て、オシャレを楽しむこともできます。
様々な柄や素材がありますので自分のお持ちの着物とマッチするコートをオリジナルで作ってみたいですね。
コートもオシャレを楽しむアイテムになります。寒さ対策はもちろんのこと、着物を守るためにも外出時は1枚羽織っておきたいところです。
外出時にコートを着てオシャレも楽しみながら、大事なお着物を守る意味での活用を心がけておきましょう!(^^)!
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