着物がパッと華やかに!職人の技術が光る「金彩加工」

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成人のお祝いで着る振り袖や、卒業式に着る袴など、お祝い事のときに着る着物を思い浮かべると華やかで煌びやかな印象はありませんか?

それは、「金彩加工」が施されているからかもしれませんね。

この記事では、着物の加工方法の一つである「金彩加工」について深堀りしていきます。

華やかな着物を綺麗に保つための保管方法も合わせてご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

  • 着物の技術に興味がある
  • 派手な着物が好き
  • 振袖を着る機会を控えている

目次

金彩加工とは?

そもそも金彩加工とはどんな着物のことを言うのでしょうか。

花が金色に縁取られていたり、金の刺繍のように見える模様を見たことがあるのではないでしょうか。

それこそが金彩加工の技法です。

別名「金加工」ともよばれていて、染め上げた着物に金や銀の箔や金粉などを接着する加工のことを指しています。

主に友禅染めの着物をもっと華やかにするために用いられることが多いのですが、必要以上の加飾は上品さに欠け、美しさが半減するとも言われています。

金彩加工の歴史

金加工の始まりは室町時代のこと。

襖や屏風に描かれた絵に用いられていたのが始まりとされています。

金箔や銀箔の他にも真鍮箔やアルミ箔、螺鈿や顔料など多様な材料を使っていたため、金彩の色合いも材料によって異なっていたのだそう。

金箔という名称が使われるようになったのは昭和46年ごろの話で、それまでは「印金」という名でよばれていました。

金彩の加工技術は今でも引き継がれ、着物や帯、屏風や襖だけでなく、インテリアなどにも用いられることが多いのだとか。

金彩加工の技法の種類

画像出典:きもの工房扇屋

金彩の加工にはいくつもの技法が存在します。

それぞれ名前と方法をひとつずつご紹介していきましょう。

金くくり技法

模様の糸目にあたる部分を金線で括っていく技法です。

太いと品格をそこない、細いと華やかさが減ります。

バランス良く置く技術が必要とされる方法なんです。

金くくり技法は、別名“金線描き”や“筒描き”ともよばれています。

糸目箔技法

細かく切った箔を貼り付けながら金線を表現しています。

金くくり技法に比べると光沢が良いのが特徴です。

砂子技法

箔を細かくして砂子状にした金粉を、接着剤を塗った生地に振り落とす方法。

別名「振り金砂子」ともよばれています。

漆器でよく用いられる蒔絵のような表現に適しています。

押し箔技法

通称「ベタ箔」とよばれる技法です。

加工する部分に箔や砂子を施しています。

箔の代わりに砂子を大量につければ「砂子詰め加工」になります。

摺箔技法

金彩の中で最も古い技法で桃山時代から行われていた技法です。

模様の型紙を使って表現することから「型押し」「小紋押し」とよばれることもあります。

江戸時代前期に作られた衣装の多くはこの技法なのだそう。

切箔・野毛技法

1枚の箔をさいの目に切った形(切箔)や、糸状に細かく切ったもの(野毛)を用いて、不規則に巻いて表現する技法。

砂子技法と一体化することで素晴らしい作品になります。

高度な技能が必要です。

もみ箔技法

ろうけつ染のような亀裂を、金彩で表す技法です。

真綿をくもの巣状に引っ張ることで表現しているのだそう。

たたき技法

砂子技法よりも粗めなので、力強い表現に向いている技法です。

スポンジや剛毛な筆を使い、たたくように施すのがポイント。

すり剥がし技法

押し箔加工をしたあとに、わざと箔面をすり剥がしていく技法です。

「箔剥がし技法」ともよばれています。

盛り上げ技法

室町時代や桃山時代の襖や屏風絵に用いられていた方法。

刺繍のように盛り上がり、立体感を表現できる技法です。

このように、「金彩加工」は多くの表現方法が存在する加工技術なんです。

変色する理由

画像出典:きもの工房扇屋

さまざまな技法があり、着物に見事な華やかさを加えてくれる金彩加工。

しかし気をつけなければならないポイントもあります。

それは金属だからこそ起きる問題、「変色」です。

変色は、箪笥の中で長年眠っていた状態の着物によく見られ、金彩加工の方法によって2色に変色するパターンがあります。

オレンジに変色する理由

オレンジに変化する場合は、金彩の加工時に使用した樹脂が原因とされています。

防虫剤の使用によって樹脂が傷んで金彩が剥がれたことによって変色してしまうのだそう。

オレンジになった樹脂を触ってペタペタとした粘着性を感じるのであれば、防虫剤のせいだと言えるでしょう。

アイロンを直接当ててしまって、金彩が剥がれるといったケースもあるので注意が必要ですよ。

黒に変色する理由

黒に変化する場合は、金彩を施す際に使用した膠(ニカワ)が原因とされています。

膠はゼラチンが主成分の接着剤で、着物の柄つけや金彩の定着剤として昔から使われていました。

着物を長期保管する際に湿度が高い状態が続いたり、防虫剤のガスが金彩と反応したりすることで起こる可能性が高いのだそう。

変色の予防と対策

虫食いを恐れるあまり防虫剤を複数使用する人も多いかもしれません。

しかし、そのせいで箪笥の中では特有のガスが発生してしまうのです。

金彩加工の変色を避けるためには、防虫剤の多種使用は控えて、金彩と反応しないようにすることが大切なんですね。

かといって、何もせずに長期間しまっておけば当然虫食いが発生してしまいますので、年に2回は虫干しによる空気の入れ替えをすることが大事です。

また、白カビ・シミ対策として、除湿機などで湿気を除去することも効果的でしょう。

よくある間違いとして絶対に行ってはいけないのがクリーニングに出すことです。

柔らかくなってベタついた樹脂を、ドライ溶剤で洗うとさらに柔らかくなるので、柄が剥げる原因になってしまうんですよ。

まとめ

この記事では、着物の加工技術「金彩加工」について紹介しました。

振り袖や袴、お祝い事で使う帯など、柄によってさまざまな方法で金彩加工がされていることがわかりましたね。

せっかくの晴れ舞台で着る艶やかな着物が変色して残念な気持ちにならないためにも、保管方法もしっかりと気をつけて長く大切にしていきたいものですね。

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