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着物にはさまざまな染め方が存在しますが、その中で最も古い染色と呼ばれる絞り染めをご存知でしょうか?
この記事では、着物の布地をすべて絞りの技法で染めた「総絞り」の魅力をご紹介していきます。
歴史や染める方法などを解説していきますので、ぜひ最後までお楽しみください。
総絞りってなに?
総絞りとは、着物の生地全体を絞り染めという技法で染めて作られたもののこと。
絞り染めは人類で一番古い染色法で、6、7世紀頃から行われていたといわれています。
糸や板などの専用器具で布を挟んだり縛ったりして、染料が入らない部分を作ります。
布全体を染めた後に縛った部分の糸をほどくと色が入らずに立体的に浮かび上がり模様になっているという仕組みなんです。
全体が模様で埋め尽くされているため、どの角度からみても美しく華やかな印象になるのが特徴。
総絞りは成人式や結婚式などのハレの日にピッタリな着物です。
絞り染めが高級な理由とは
さて、この総絞りの着物ですが、高級品としても有名なんです。
その理由は、職人がすべて手作業で行っているため、技術と時間がかかるから。
1つの着物に対して約20万箇所以上絞る必要があり、しかも最初から最後まで同じ職人さんが行わなければなりません。
途中で交代してしまうと力加減や縛り方の微妙な違いで、絞りの状態が変わってしまうのです。
そのため、一つの作品を完成させるまで、ものによっては1年以上かかることもあるのだそう。
しかも、生地全体を均一に絞るには高い技術と経験値が求められるので高級品としての価値も高まります。
手に入りにくいものであれば100万円以上が相場。
さらには、人間国宝と呼ばれる方の作品であれば1,000万以上の価値がつくこともあるのだとか。
あまりの高級さに、大奥の時代でも着用を禁止されたのだそう。
職人さんが時間をかけて作った作品ですから、高級なのも納得ですね。
絞り染めの種類
絞り染めには2種類あります。
それぞれどのように違うのかを見ていきましょう。
鹿の子絞り
1つ目は「鹿の子(かのこ)絞り」。
子鹿の斑点のように見えることから、この名がついたとされています。
鹿の子絞りを見たことある人は多いかもしれませんね。
その中でも特に有名なのが「疋田(ひった)絞り」です。
布目45度の角度で鹿の子絞りの模様が隙間なく埋まっているのが特徴で、さらに目が細かいものは本疋田絞りと呼ばれているのだそう。
絞り目の細かさで着物の価値が変わるため、本疋田絞りとなるとかなりの高級品となるでしょう。
辻が花
画像出典:みやたけ工房
2つ目の技法は、室町時代から安土桃山時代に広まったとされる「辻が花(つじがはな)」です。
辻が花は実際には存在しない幻の花と言われています。
諸説ありますが、一説によると藤と椿を合わせた架空の花なんだとか。
なのでこの技法は、別名“幻の染め物”とも呼ばれているそうですよ。
辻が花の特徴は、まるで着物が1枚の絵画のように描かれているところ。
ぼかし染めや絞りによって立体的に表現された花はまさに、着物だからこそ創り出せた“幻の花”なのです。
季節を問わずに通年使用できるところも辻が花の魅力で、華やかな場やお祝いの場でも活躍してくれるでしょう。
注意するべきこと
総絞りの着物を着用するうえで、気をつけたほうが良いことが3つあります。
①適切な身長
総絞りの着物は身長160cm前半までの方におすすめと言われています。
それ以上になると、絞りの風合いを残しつつ美しく表現するのが難しくなるのだそう。
高身長の方は、総絞りではなく部分的に絞りの入ったデザインのものが良いとされています。
②保管時の注意
絞りの特徴のひとつに、職人が手間暇かけて絞ることで作られた凹凸の肌触りがあります。
着物を保管する際に、上に重いものを乗せてしまうとせっかくの凹凸がなくなってしまうので、気をつけるようにしてください。
③湿気
絞りに限った話ではありませんが、着物は湿気に弱い性質があります。
そのなかでも総絞りはより水分に弱く、絞りの形が崩れる・色落ちする、などのリスクが発生します。
綺麗に保ちたいのであれば、防水加工をするのがおすすめですよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では「総絞り」の着物についてご紹介しました。
絞り染めの技法は染める工程で多くの負荷がかかるため、頑丈な生地を使用しています。
きちんとお手入れすれば10年や20年も愛用できるのだそう。
華やかで目を惹くだけじゃなく、上品さも兼ね備えているのでいくつになっても楽しめそうなデザインですよね。
伝統的な染め方で流行り廃りがないため、自分から子供へと次の世代に受け継ぐのも素敵だと思いませんか?
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