【きもの大好き必見】着物の染め方の種類と初めての天目染め体験

呉服屋さんへ行き、着物を見ていると「この着物は友禅染めなんですよ」「こちらは更紗染めです」など、着物の染め方を紹介されたことがある人も多いのではないでしょうか?

店員さんの説明を聞きながら、着物を染める光景を想像しても、ピンと来ない人がほとんどかと思います。

そこで今回は、着物の染め方の種類と、実際に天目染めを体験した感想を紹介しますので、ぜひ最後までお楽しみください。

  • 着物の作る工程など興味がある
  • 少し変わった着物が欲しい
  • 着物知識を取り入れたい
目次

「先染め」と「後染め」

まず、着物の染め方は大きく2つに分かれます。

「先染め」「後染め」です。

仕上がる着物の表情が大きく異なる2つの技法が、どの様に違うのかを比べてみましょう。

先染め

 

出典:しるくらんど

先染めは、糸を染めてから織る「織りの着物」を指しています。

生地には厚みとハリがあり、手触りは硬くしっかりとしていることが特徴です。

先に色を付けた糸を織って作られるため「先染め」とよばれているのです。

先染めの着物の原料には紬や木綿が使われていて、普段着として利用されています。

縦糸と緯糸の組み合わせ次第では、先染めでしか作り出せない珍しい色の重なりや、複雑な模様を表現することができます。

後染め

 

出典:しるくらんど

後染めは、織った後の白い生地を染める「染めの着物」を指しています。

生地は手触りが良く、しなやかで柔らかいことが特徴です。

糸を染めてから織る「先染め」と比べて、白い糸で織られた後に染めるため「後染め」とよばれます。

光沢があり華やかに染めることができるので、結婚式の披露宴などのフォーマルな場面で着用する着物の染め方です。

染の着物は、元の色を抜いてから再度染め直しが可能なので、古くなった着物も再利用することができますよ。

後染め技法の種類

後染めの歴史は縄文時代から始まりました。

それ故に現在の日本にはさまざまな染色方法が存在しています。

それではいくつかご紹介していきましょう。

友禅染め(ゆうぜんぞめ)

白生地に手で柄を描き、色を塗る染め方です。

糊を使うことが特徴的で、色のにじみを防ぎ華やかな柄を描きます。

手描きの友禅には種類が3つあり、それぞれ異なる特徴を持っています。

京友禅(きょうゆうぜん)

出典:KOGEI JAPAN

京都の伝統工芸品のひとつと言われています。

金箔や刺繍などをほどこし、豪華できらびやかな特徴があります。

公家や大名に好まれた技法です。

加賀友禅(かがゆうぜん)

出典:加賀友禅

絵画調で古典や自然をモチーフにしたデザインが多いことが特徴です。

江戸時代では、武士や財力のある者の晴れ着として親しまれていました。

東京友禅(とうきょうゆうぜん)別名:江戸友禅(えどゆうぜん)

出典:中川政七商店の読みもの

華やかな色合いの京友禅に比べ、白、黒、藍、茶などの渋い色合いで染色されていました。

色調を抑えつつも、気品の溢れるデザインが町民に好まれていました。

江戸小紋(えどこもん)

出典:きものと 

江戸小紋は、遠目では無地に見えるほど、繊細で緻密な模様の一色染めです。

一人前の江戸小紋職人になるには、およそ10年の修行が必要とされています。

それほど、細かい模様は難易度が高い職人技なのです。

更紗染め(さらさぞめ)

出典:楽天市場

「更紗」とは、インド発祥の布製品で、さまざまな色で模様が染められています。

インド風の樹木や唐草模様を、手描きや蝋を使って木綿を多色に染めた物が一般的です。

鮮やかな色彩と異国の模様が特徴的です。

辻ヶ花(つじがはな)

出典:楽天市場

辻ヶ花は絞り染めを基調とした染色方法です。

絞り染めとは、布を結んだり、輪郭を縫うなどして絞って染色する技法です。

そこに描き絵や箔、刺繍などをほどこし、絞り染めの美しさを余すことなく表現しているのが辻が花なのです。

ろうけつ染め

出典:腰原きもの工房

ろうけつ染めとは、溶かした蝋で布に模様を描く染め方です。

布を染色した後に蝋を落として水で洗うと、蝋があった部分は染まらずに白く残っているので、それが模様となるのです。

複数の色を使用する場合はこの工程を繰り返し染める必要があります。

天平時代から続く染色の技法で、インドネシアやマレーシアでもこの技法は使われています。

天目染めについて

出典:楽天市場

後染め方法にはたくさんの種類がありますが、その中でも「天目染め」について詳しくご紹介します。

天目染めとは中国から渡ってきた染め方のひとつです。

「天目茶碗」の技法を着物の染め方に取り入れるべく発案されました。

出典:静嘉堂文庫美術館 「天目茶碗」

染料を塗り、乾く前におがくず(細かい木の屑)を散らすことで、おがくずが染料を吸収して見事なまだら模様を作り出してくれます。

幻想的な模様からは、さまざまな着物の表情を楽しめることでしょう。

天目染め体験

今回、ハンカチの天目染めを実際に体験してみました。

①まず、布がたるまないようにピンと張って固定します。

②そこに、専用の染料を刷毛で塗っていきます。

③そしてその上に、湿ったおがくずをパラパラと散らします。

④その後、下からヒーターで温めて染料を乾かします。

⑤20~30分温め、充分に染料が乾いたことを確認してから、おがくずを取ります。

すると、おがくずを乗せた場所には色が付かないため、白いまだら模様ができあがります。

色落ちする可能性が高いため、2〜3回水で洗って色が出なくなってからハンカチとして利用すると良いそうです。

簡単に思えますが、反物になるほどの長さ分おこなうとなると、とても根気が必要な作業です。

天目染め体験を通して、職人さんの苦労や、染色の大変さを実感できました。

おわりに

着物のさまざまな染め方を知ることで、着物に対して更に興味がわいた人も多いのではないでしょうか。

今、自分が持っている着物がどんな染め方で作られたのか、それを知ることで造り手の思いや苦労に気づき、今までとは違った気持ちで着物を着ることができるかもしれませんね。

また、染色方法の違いを比べに呉服屋さんへ行ってみるのも楽しそうですね。

各々に合った素敵なきものライフをお過ごしください。

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